ベーチェット病とは
ベーチェット病は原因不明の全身性の炎症性疾患で、免疫異常によりおこると考えられています。日本での患者数は約2 万人とされています1)。以前は男性にやや多いとされてきましたが、近年は女性患者の頻度が増え、2003年から2014年以降の特定疾患受給者数では男女比は1:1.5と女性優位で、発症のピークは30歳代後半です2)。しかし、眼の症状を含め重症例は男性に多いとされています。
ベーチェット病は、症状が現れたりおさまったりすることを何度もくり返しながら、慢性の経過をたどり、加齢とともに症状はおさまってくることが多いとされています。身体的疲労、風邪などの感染症、精神的ストレス、寒冷曝露などが症状増悪の誘因となることが多いとされています。治療の目標は発作性に出現する症状を抑えるだけでなく、その発作自体の出現を予防することにあり、落ち着いている時期であっても、定期的な受診を欠かさないことが大切です。
- e-Stat:平成26年度衛生行政報告例
- 岳野光洋 他:リウマチ科. 60:332-329, 2018
- e-Stat:平成25年度衛生行政報告例
ベーチェット病の原因
いまだに原因はよくわかっていませんが、この病気になりやすい遺伝的要因に感染病原体などの環境要因が加わり、免疫バランスの異常が炎症を引きおこし、発症につながると考えられています。
- 日本リウマチ財団 教育研修委員会・日本リウマチ学会生涯教育委員会 編:リウマチ病学テキスト第2版. 診断と治療社, p400-408, 2016
- 岳野光洋:リウマチ科. 58:412-419, 2017
- 岳野光洋:リウマチ科. 54:191-197, 2015
- Mizuki N et al.:Nat Genet. 42:703-706, 2010
- Kirino Y et al.:Nat Genet. 45:202-207, 2013
- Kirino Y et al.:Proc Natl Acad Sci U S A. 110:8134-8139, 2013
- Takeuchi M et al.:Nat Genet. 49:438-443, 2017
- Takeuchi M et al.:J Autoimmun. 64:137-148, 2015
- Ishigatsubo Y(ed.):Behçet's Disease. Springer, p1-20, 2015