乾癬について

乾癬とは

乾癬は身体の中の免疫バランスの異常によっておこる、全身性の炎症性疾患です。日本の乾癬患者さんの数は40万人~50万人(1,000人に4~5人)と推計されています1 、2 )。男女比はおよそ2:1です(2009~2011年度日本乾癬学会調べ)3 )。発症年齢の平均は40歳弱で、20歳代と40~50歳代に発症のピークがあります。

日本の乾癬患者さんの性・年代別分布

乾癬は決して人にうつることはありません。一方で、症状が出ていない部分でも、刺激を加えることで新しく症状が出たり、症状が広がることがあります。また、よくなったり悪くなったりをくり返すので、長期的な治療やケアが大切です。

  • 1) Kubota K et al.:BMJ Open. 5:e006450, 2015
  • 2) 照井正 他: 臨床医薬. 30:279-285, 2014
  • 3) Takahashi K et al.:J Dermatol. 38:1125-1129, 2011

乾癬の原因

乾癬の発症原因ははっきりとわかっていません。現時点では、もともと乾癬になりやすい遺伝的な要因があり、そこにさまざまな環境的な要因が複雑に関与することによって、免疫バランスの異常がおこり、発症につながると考えられています。

乾癬の原因
PDE4(ピーディーイーフォー;ホスホジエステラーゼ4):
身体の中の細胞に存在する酵素(タンパク質)で、cAMP(サイクリックエーエムピー)という物質をAMP(エーエムピー)という物質に分解する役割があります。
cAMP(サイクリックエーエムピー):
さまざまな刺激に反応して細胞内の情報伝達を仲介する物質の一つです。cAMP(サイクリックエーエムピー)の量が減ると、身体の中で炎症を引きおこす物質の産生が多くなり、炎症が悪化することが報告されています。
AMP(エーエムピー):
cAMP(サイクリックエーエムピー)が分解されることで生じる活性のない物質です。

監修 あたご皮フ科 副院長 江藤 隆史 先生