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国際共同第Ⅲ相臨床試験(BCT-002試験:RELIEF試験)

国際共同第Ⅲ相臨床試験(BCT-002試験:RELIEF試験)
試験デザイン

国際共同第Ⅲ相臨床試験(BCT-002試験:RELIEF試験)1、2)

国際共同第Ⅲ相臨床試験

【目    的】
口腔潰瘍を有する活動性ベーチェット病患者にオテズラを経口投与したときの有効性及び安全性を評価する。
【対    象】
International Study Group(ISG)基準によりベーチェット病と診断された患者のうち、スクリーニング時に口腔潰瘍を有し※3、割付け前の12ヵ月間に少なくとも3回口腔潰瘍を発症しており、ベーチェット病による口腔潰瘍に対する治療歴がある患者207例(うち日本人は39例)。
【方    法】
第Ⅲ相多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照並行群間比較試験。本試験は、スクリーニング期(最長6週)、プラセボ対照期(12週、二重盲検)、実薬投与期(52週、二重盲検)及び追跡調査期(4週)で構成された。プラセボ対照期では、性別、ぶどう膜炎の既往の有無、及び地域(日本、日本以外)で層別し、オテズラ30mg 1日2回投与群(オテズラ30mgを1日2回投与)又はプラセボ群(プラセボを1日2回投与)のいずれかに1:1でランダムに割付け、12週投与した。実薬投与期では、プラセボ対照期での盲検性を維持したまま、全例をオテズラ30mg 1日2回投与とし、52週投与した。併用治療の規定として、有効性評価への影響を考慮して、プラセボ対照期はベーチェット病に対する治療(全身及び局所)は不可とした。また、プラセボ対照期終了後の実薬投与期では、口腔潰瘍の部分寛解や完全寛解に到達しない患者に対してコルヒチン※4や副腎皮質ステロイド(外用)の使用は可とした。ベーチェット病による眼疾患又は他の眼疾患に対しては、プラセボ対照期、実薬投与期のいずれでも副腎皮質ステロイド点眼剤の使用は可とした。経口/局所鎮痛薬(リドカインゲル※5)とクロルヘキシジン※6の使用も可(口腔潰瘍又は外陰部潰瘍の疼痛の評価を妨げないよう評価来院前24時間のみ使用は不可)とした。
【主要評価項目】
投与12週時までの口腔潰瘍数の時間曲線下面積(AUC)※7
【副次評価項目】
投与12週時の口腔潰瘍疼痛VAS※8スコアのベースラインからの変化量、投与12週時のベーチェット病活動性尺度(BSAS)※9スコアのベースラインからの変化量、投与12週時のベーチェット病活動性スコア※10のベースラインからの変化量、投与6週時までに口腔潰瘍が完全寛解し、6週以上持続した患者割合、プラセボ対照期での口腔潰瘍の完全寛解までの期間、投与12週時の口腔潰瘍の完全寛解割合、投与12週時のベーチェット病QOL(BD QOL)※11スコアのベースラインからの変化量等
【その他の評価項目】
投与64週時までの口腔潰瘍数、投与64週時の口腔潰瘍疼痛VASスコアのベースラインからの変化量等
【解析計画】
有効性はITT集団※12を主解析対象集団として評価した。有効性の主要評価項目及び副次評価項目の多重性の調整にはゲートキーピング法を用いた。主要評価項目に対しては、投与群、性別、地域を因子(日本人集団では投与群、性別を因子)、ベースラインの口腔潰瘍数を共変量とした共分散分析を用いてプラセボ群とオテズラ30mg 1日2回投与群を比較した(有意水準:両側0.05)。口腔潰瘍数の欠測値は多重代入(MI:multiple imputation)法を用いて補完した。ベースラインの患者背景、ベースラインの疾患特性、地域によるサブグループ解析を行った。副次評価項目の検定は、多重比較に伴う第一種の過誤率を制御するために副次評価項目に記載した順(一部)で階層的に行った(有意水準:両側0.05)。日本人集団の解析では多重性が考慮されていないため、名目上の(nominal)p値を示した。疼痛に対するVAS評価のような連続変数では要約統計量(評価患者数、平均値、中央値、標準偏差、最小値、最大値等)を算出した。12週時で評価する項目に対しては、主要評価項目と同様に投与群、性別、地域を因子(日本人集団では投与群、性別を因子)、ベースライン値を共変量とした共分散分析モデルを用いて群間比較した。口腔潰瘍の完全寛解までの期間については性別、地域を因子とした層別log-rank検定を用いて群間比較した。口腔潰瘍に対して奏効を示した患者割合といったカテゴリー変数では、患者数とその割合(%)を算出し、性別及び地域(日本人集団では性別のみ)で調整したCMH(Cochran-Mantel-Haenszel)検定を用いて群間比較した。投与12週時より前に中止した患者や12週時のデータがない患者はnon-responderとして取り扱った。安全性は安全性解析対象集団及びオテズラ30mg 1日2回投与集団を対象集団として評価した。
  • オテズラ投与開始時は、最初の6日間にオテズラを1日あたり10mgずつ漸増投与した。
  • 何らかの理由で治験薬の投与を中止した患者を含む。
  • スクリーニング時に2個以上の口腔潰瘍を有し、かつ(1)その14日以上後のランダム割付け日に2個以上の口腔潰瘍を有する、又は(2)その1~42日後のランダム割付け日に3個以上の口腔潰瘍を有する患者とした。
  • コルヒチンは国内においてベーチェット病に対して未承認であるが、「55年通知」に基づきベーチェット病に対する保険適用が認められている3)
  • ゲル剤は国内未承認である。
  • 国内ではクロルヘキシジングルコン酸塩として承認されている。
  • AUC(Area under the curve):投与開始日、投与1、2、4、6、8、10、12週時の口腔潰瘍数を測定し、線形台形法で各測定時点間のAUCを算出した。
  • VAS(Visual analog scale):視覚的評価スケール。口腔潰瘍に伴う疼痛の程度はVAS(100mm)を用いて評価した。直近1週間に発現した口腔潰瘍に伴う疼痛の程度を0mm(痛みなし)から100mm(最大の疼痛)とするVAS上に患者が印を付け、その位置をスコア化した。
  • BSAS(Behçetʼs syndrome activity score):ベーチェット病活動性尺度。口腔潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚病変、消化管病変、中枢神経病変、血管病変、眼病変を評価する計10個の質問で構成され、0から100(100が最も疾患活動性が高い)のスケールで評価する。患者が入力を行った。
  • BDCAF(Behçetʼs disease current activity form):ベーチェット病活動性フォーム。ベーチェット病活動性(BDCAI;Behçetʼs disease current activity index)スコア、患者による疾患活動性の評価スコア、医師による疾患活動性の全般評価スコアの3つの評価スコアで構成される。BDCAIスコアは、ベーチェット病の活動性を評価する指標の1つであり、0から12(12が最も疾患活動性が高い)のスケールで評価する。患者及び医師による疾患活動性の全般評価はいずれも1から7(7が最も疾患活動性が高い)のスケールで評価する。医師が入力を行った。
  • BD QOL(Behçetʼs disease quality of life questionnaire):患者の生活に対するベーチェット病の影響を評価する尺度。BD QOL質問票は30項目で構成されており、0(QOLに対する疾患の悪影響なし)から30(QOLに対する疾患の悪影響が最大)のスケールで評価する。患者が入力を行った。
  • ITT(Intent-to-treat)集団:ランダム割付けされ、治験薬が1回以上投与された患者集団。

1) CC-10004-BCT-002試験(承認年月:2019年9月、CTD2.7.6.1)
2) Hatemi G et al.: N Engl J Med. 381: 1918-1928, 2019
3) 厚生労働省:医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて(平成21年9月15日)

利益相反:BCT-002試験はCelgene社の資金提供によりアプレミラストの開発治験として実施され、この結果を報告した論文 2)[Hatemi G et al.: N Engl J Med. 381: 1918-1928, 2019]の著者らには、Celgene社の社員や指導料等の謝金を受領した者を含みます。

4.効能又は効果(一部抜粋)
○局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍

6.用法及び用量
通常、成人にはアプレミラストとして以下のとおり経口投与し、6日目以降はアプレミラストとして1回30mgを1日2回、朝夕に経口投与する。

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目以降
10mg 10mg 10mg 10mg 20mg 20mg 20mg 20mg 30mg 30mg 30mg